キョウツカ・すっきりするブログ

医薬品登録販売者として長く勤務しました。ヘルスケアから料理・栄養、暮らしの情報まですっきりする話をご紹介します。

ビタミンDで免疫機能は上げられる?[冬こそ魚を食べよう]

こんにちは。

医薬品登録販売者のyamakoです。

 

先日、HatenaBlogさまの『鍋』というお題に参加する形で、こんな記事を書きました。

 

base2323.hatenablog.com

 

その後、ネットでビタミンDと免疫力』についての話が出ていたので、ちょっと補足したいと思います。

 

 

 

 

ビタミンDとは

ビタミンの中でも、『ビタミンD』は、あまり聞きなれない名前かもしれません。

このビタミンDには、大切な仕事が2つあります。

 

  1. カルシウムの調整→骨のためのお仕事
  2. 免疫細胞を活発化→免疫機能のためのお仕事

 

でも実は、「免疫力を上げる効果があるのでは」と言われはじめたのは、比較的最近のことなのです。

 

わかりやすいのは、『栄養機能食品』として店頭に並ぶときの表示です。

ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です」

これが、一般的に言われているビタミンDの仕事なのです。

 

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免疫力はアップできる?

実際に検証して、季節性インフルエンザにかかる確率が減ったとする報告があります。

NK(ナチュラルキラー)細胞の活動と、マクロファージの食作用を活発にすると言われています。

 

最近よくきくNK細胞は、とくに腫瘍やウイルスに対して攻撃してくれる細胞です。

あらかじめ学習していなくても「悪い奴」「片付けたほうがいいやつ」と判断して攻撃してくれます。

つまり「ナチュラル(自然に)」に「キラー(攻撃して排除)」してくれるわけです。

 

マクロファージは、いろんな「不都合なもの」を、自分に取り込んで片付けてくれる細胞で、この作用を「食作用」と呼びます。

自分でウイルスや菌を殺すこともありますし、残骸を片付けてくれたりもします。

 

この他にも、いろんな細胞がウイルスや菌などと戦うために、頑張ってくれるのですが、その助けになる栄養素の1つがビタミンDなのです。

 

 

ビタミンDをとる方法

ビタミンDをとる方法は2つです。

  1. 日光に当たる
  2. 食事でとる

ビタミンDは、ビタミンの中では珍しく、体の中で作ることができます。

日光に当たるだけで、すでに持っているものを活用して作り出せます。

ですが、紫外線については害もありますので、「どんどん浴びて」とは言いづらいところです。

 

一方、食事でとるなら安全です。

とくに日本人が大好きな鮭やさんま、ヒラメ、うなぎ、カレイ、サバなどの魚類には、たくさんビタミンD(動物由来のビタミンD2)が含まれています。

量的には減ってしまいますが、豚肉や鶏肉、たまご、牛乳などの乳製品にも含まれます。

きのこ類にも、きくらげや干し椎茸にはたくさんのビタミンD(植物由来のビタミンD3)が含まれます。

しめじ、まつたけ、マッシュルームなどにもちょっと少なめですが、ちゃんと含まれています。

 

動物由来のビタミンD2の方が、働きがいいという話もあります。

選べる食材も多いので、動物由来のビタミンD2がとりやすく、活用しやすいと言えます。

 

例えば、晩ごはんに焼き鮭を一切れ食べるとします。

鮭の一切れ、大きめで100g(普通なら80gくらい)、ビタミンDはこれだけで30〜39μg(マイクログラム)含まれています。

成人の1日の摂取目安量は8.5μgなので、鮭一切れだけで十分です。

上限の100μgの中にもおさまっています。

 

同じ100gで計算すると、魚以外はがたっとビタミンDの量が減ってしまいます。

豚肉の赤身なら0.1μg、牛乳は0.3μgです。

なるべく魚をとって、ビタミンDの適量摂取を目指しましょう。

 

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ビタミンDには過剰症があります

ビタミンには、「水溶性ビタミン」と、「脂溶性ビタミン」があります。

 

水溶性ビタミンは摂りすぎても、尿として排出されるので心配はいりません。

むしろ、こまめにとる必要があります。

脂溶性ビタミンは、脂肪や肝臓にどんどん貯まってしまい、とりすぎると病気になってしまうことがあります。

 

ほとんどのビタミンは水溶性ですが、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKが脂溶性です。

(並び替えてDAKE→「これだけ(DAKE)は気をつける」と覚えると便利、かもしれません)

どのビタミンも、食べ物だけで過剰症になる心配はまずありません。

気をつけていただきたいのは、サプリメントです。

 

ビタミンDの過剰症では、血液中のカルシウムの量が多くなりすぎて、腎臓や筋肉へ悪い影響をもたらします。

嘔吐や食欲不振、体重減少などの症状がでることもあります。

 

免疫力を高めたいと思っても、過剰にとるとかえって害になります。

気をつけましょう。

 

 

冬こそビタミンDの"もう1つの仕事"

冒頭では書きませんでしたが、ビタミンDには、もう1つ大切な仕事があると言われています。

「精神状態を健康に保つために、有効ではないか」という研究がされているのです。

 

ビタミンDの欠乏がうつ病統合失調症などの、心理的な問題に"何らかの役割"を果たしている可能性があります。

とくに、冬にうつ症状がみられる『冬季うつ』など、季節型の病気に関係があるかもしれません。

まだまだ研究段階ではありますが、もし、冬になって気分が落ち込んでいたら、積極的にビタミンDを摂取してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 ●  ●

 

 

 

適度に暖かい光を浴びて、バランスよく肉や魚、野菜などを食べる。

寒い冬だからこその体の整え方です。

焼き鮭もうなぎも、ウイルスと戦う糧となります。

美味しくいただきましょう。

 

 

それでは、また。

 

 

◆参考サイト◆

マクロファージ[Wikipedia]

ビタミンD[オーソモレキュラー栄養医学研究所]

脂溶性ビタミン[厚生労働省]

 

 

 

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