そろそろ乾燥してきましたね。
手荒れのシーズン到来です。
毎年手が荒れてしまうという方も、まずは『荒れない対策』はじめてみませんか。
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避けられない『ウイルス対策』
この秋冬も、ウイルス対策が大切です。
新型コロナウイルスの他、例年通りならインフルエンザや、ふつうの風邪もはやり始めます。
- できるだけマスクをする
- 手を洗う
- 人混みはなるべくさける
など、これまで通り注意していけば、ある程度は防げるかもしれません。
さらに手が荒れやすい人にとっては、悩ましいシーズンの到来となります。
手洗いと消毒などが推奨されているなか、手の健康まで保つのは簡単ではありません。
ですが、一度荒れはじめると、治すのは大変ですよね。
ひどくならないように、まずこの時期から守って行きましょう。
手荒れの原因
手荒れの原因は大きく分けて、
- 乾燥
- 特定物質への反応
などです。
手の皮脂が失われると、乾燥して、バリア機能が低下します。
この状態は、非常にかんたんにやって来ます。
手を洗う。
家事をする。
仕事をする。
あなたの生活のどの場面でも、皮脂が奪われてしまう状況は転がっているのです。
今はとくに手を洗う機会が増えています。
それじたいはよい事ですが、手にとっては負担でもあります。
推奨されている手洗いは、15秒以上かけて丁寧に洗うという方法です。
手のひら、手の甲、指、指先、指の股、手首まで、まんべんなくこすり洗いして、じゅうぶんな流水ですすぎます。
15秒は案外長いので、一度ぜひ、時計で計ってみてください。
たしかに丁寧に洗うと、それくらいの時間がかかります。
そのあと、タオルなどで指先を包み込むよう押さえ、爪のまわりまでしっかり水分を拭き取りましょう。
手荒れ対策としての問題はここです。
手のひらと手の甲だけさっと拭いて、指先に水分が残っていませんか。
洗うときも、拭くときも、指先は重要です。
手湿疹は治すのに時間がかかります
私yamakoも、以前手荒れがひどくなり、なんとか自分自身でクリームや市販薬で治そうと試みました。
医薬品の登録販売者になる前の話です。
ですが、どんどん悪化して、水泡が破れ、体液がかたまり、指を曲げる度にあちこちから出血する状態に。
そこではじめて、皮膚科へ行きました。
怒られました。
小さい頃から診ていただいているおじいちゃん先生だったのですが、
「どうしてもっと早く来ないの」
と言われました。
状態が悪化してからでは、治すのにとても時間がかかります。
表面的にはきれいになっても、皮膚が硬くなったり、同じような水泡が繰り返しできたり。
バリアがきちんと働いている状態に戻るまでには、一年くらいかかりました。
皮膚は生まれ変わりながら、少しずつ状態がよくなっていくので、その間も悪化しないように手を守っていかなければなりません。
私のように、洗剤はもちろん、ハンドクリームでもかぶれてしまうタイプだと、原因になる物質を特定するのは困難ですし、1つわかったところで、他にないとは言い切れないのです。
みなさんがもし、ある種の洗剤やゴム、金属など、苦手なものに心当たりがあれば、それは避けましょう。
使っているうちに慣れることには、期待しないほうが無難です。
とにかく状態が悪くならないように保つ。
そのためにはかなり気を使わないといけません。
今、私がお話ししたような症状は手湿疹と呼ばれています。
医薬品を使った治療が必要です。
気になる方は、今のうちにお薬を使ってみることをおすすめします。
市販薬でも手湿疹用の塗り薬が出ています。
弱いもの、強いもの、ばい菌を殺す薬、防御反応をおさえる薬、色々ありますので、薬剤師さんや登録販売者に相談してみてください。
すぐにできる基本的なことは
- 手を清潔に保つ
- 濡れた手を自然乾燥させない
- 保湿する
まず手をきれいに保つようにしましょう。
手には、汚れはもちろん、洗浄成分も残らないようにきちんと水で流します。
もしお湯が使えたとしても、熱いお湯は皮脂を奪います。
実は冷水も血行が悪くなるので、手荒れの原因になり得ます。
ほどほどのぬるま湯が理想ですが、いずれにしてもきちんと手を洗い流す事。
そして、洗った後は、手に水分が残らないように、しっかりと拭きます。
ごしごしこする必要はありません。
水分を吸い取るように、指の股、指先、爪のまわりまで、ハンカチやタオル、ペーパーなどで丁寧におさえます。
水分が残って自然乾燥にならないようにしましょう。
できれば、備え付けのハンドドライヤー(風で水分を吹き飛ばすもの)も使わないことをおすすめします。
急激な乾燥は、手肌の乾燥も進めてしまいます。
ハンドクリームなど保湿剤がある人は、その都度ちゃんと塗りましょう。
手のひらや手の甲ばかりではなく、指先や指の股にもなじませます。
日常にある紙類は、思っている以上に皮脂を吸い取ります。
紙に触れる機会が多い人は、とくに気をつけてください。
アルコール・炊事用手袋・ハンドクリームは要注意アイテムです
「いい」と思って使っているものにも、手を荒れさせる原因は潜んでいます。
●消毒用のアルコール●
消毒用アルコールは、手が荒れる大きな原因でもあります。
ウイルス対策として必要なものですが、店への出入りなど、「どうしても必要な場面以外では使わない」ということも考えましょう。
基本的に、ちゃんと手洗いができれば消毒は必要ありません。
●炊事用の手袋●
炊事用手袋も、素材や、使い方によっては手荒れの原因になったり、手荒れをひどくしてしまったりします。
ゴム(ラテックス)という素材じたい、そもそも受け付けない、手袋の中についている粉が苦手、ムレるのが嫌、いろんな方がいらっしゃいます。
それに応じて、炊事用の手袋もいろいろ種類が増えました。
手袋の素材選びはもちろんですが、定期的にひっくり返して内側も洗う、手荒れがはじまったら中に綿の手袋を重ねるなどの一手間も必要です。
裏返して洗うのが面倒なら、安いものを買って頻繁に取り換えるのもいいかもしれません。
●ハンドクリーム●
ハンドクリームも、本当にたくさんの種類が出ています。
みなさんが「ハンドクリーム」と呼ぶものの中でも、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」などのカテゴリーにわかれています。
店頭ではよく、
「どれが効きますか」
「手荒れが治るものはどれですか」
ときかれました。
正直、「治す」のなら「医薬品」しかご紹介できませんが、お客様の評判を聞くかぎり、効果は本当に人それぞれです。
評判のいいロクシタン、アベンヌ、ニュートロジーナ、ニベアなどは化粧品です。
化粧品としてのハンドクリームの良いところは、使用感や香り、成分(原料や素材)にこだわって作られていることです。
頻繁に使っていただきたいということを考えると、選ぶポイントとして、かなり大きいと思います。
パッケージにも、メーカーさん、ブランド独自の特徴があり、手元に置いているだけでもウキウキしたりしますよね。
こちらも有名なヴァセリンとワセリンですが、ヴァセリンは化粧品で、ワセリンは化粧品と局方品の白色ワセリン(第3類医薬品)があります。
ユースキンは医薬品、指定医薬部外品、医薬部外品、化粧品など、それぞれのシリーズで異なっています。
一番有名なオレンジ色のキャップのユースキンは指定医薬部外品です。
店頭では、男性にもよく売れていました。
とくに外仕事や手の荒れやすい職種の方には、評判のよい商品です。
ユースキンは2020年秋にパッケージがリニューアルされ、より使いやすくなりました。
先にお話しした「手湿疹の薬」のように治療目的でなければ、使っていて支障がないものを選んだ方がいいと思います。
料理をする人や接客業の人は匂いの強いものは使えませんし、運転する人はヌルヌル感が気になるタイプはダメですよね。
肝心なのは、続けられるかどうかです。
手洗いも、しっかり拭き取って乾燥させることも、ぜひ続けてみてくださいね。
それでも荒れてしまったら
なるべく早く、薬を使って悪化するのを防ぎましょう。
とくに今は、手洗い、さらにアルコール消毒まで、日常的に手の負担になることが続きます。
手を使いながら治すのは、ただでさえ大変です。
薬を使うことはためらいがあるかもしれませんが、早めに病院や店頭で相談しましょう。
これから長い乾燥の時期が続きます。
手の荒れやすい人も、そうでない人も、できることを続けて、快適な生活を目指しましょう。
■ 参考サイト ■