ずっと続けてきた習慣でも、ある日ふと、疑問に思うことはありませんか?
「これでいいんだっけ?」
実は昔と今と、変わっていることがあります。
それは道具だったり、そもそもの理論や考え方だったり。
昔の常識が、今は通用しないことも。
今一度、歯磨きについて復習しましょう。
最近では、子供の虫歯より、大人の虫歯の方が増える傾向にあります。
子供と大人では、虫歯になる理由がちょっとちがっているからです。
今の歯磨き事情、今風のお手入れ方法をご紹介します。
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大人が子供だったの頃の歯磨き
今は、予防歯科という『歯の健康を保つ』オーラルケアは定着しつつあります。
しかし、私たち大人には、そんなことは教わらず大きくなってきた人も多くいます。
あるいはもう、すっかり忘れてしまっているのかも。
とにかく歯を磨け。
とにかくしっかり磨け。
歯医者さんは、虫歯になったら行くもの。
そんな感じではなかったでしょうか。
歯医者さんもできれば行きたくないですよね。
あの音、におい、痛み。
考えただけで、嫌な感じがする、という方もいらっしゃるのでは。
大人になると、
- 歯を磨かなくても誰にも怒られない
- においがある、見た目がちょっとという場合でも指摘はされない
だから、いろんなことが口の中で起こっていても気づきにくい状況です。
さらに、
- 歯の磨き方は適当
- 歯ブラシも適当にあるもの
- 練り歯磨きも適当に安いもの
これでもまったく困りません。
いえ、むしろ、特別関心がなければ当たり前のことです。
ですが、そのままでは、虫歯や歯周病まっしぐらです。
今からでも遅くありません。
正しい歯磨き、オーラルケアに軌道修正しましょう。
大人特有の悩み
大人には、大人特有の気をつけるポイントがあります。
歯周病
歯周病はバイ菌によって起こる病気の総称です。
全体的に30代から増えはじめ、45歳以上になると、7割以上が歯周病と言われています。
大人が歯を失う原因で一番多いのも、この歯周病なのです。
歯周病を大きく分けると、
- 歯肉炎(歯茎の炎症・歯茎が赤くなっているくらいの状態)
- 歯周炎(歯の根の部分や支える骨にまでおよぶ炎症)
にわかれます。
歯周炎の中でも、膿が出たり、歯がグラグラするような状態は『歯槽膿漏』と呼ばれたりもします。
みなさん、お馴染みの言葉ですよね。
むしろ、歯茎のトラブルじたいを『歯槽膿漏』と言う方も少なくありません。
この歯周炎を引き起こしている菌や、状態が悪くなって出てくる毒素は、体の他の場所にも悪影響をおよぼします。
例えば、脳や心臓、呼吸器などです。
ちゃんと噛んだり出来なくなれば、胃の負担にもなります。
症状がひどい時は、自分で判断せずに、病院で治療してもらいましょう。
まずは近所の歯医者さんで診てもらってください。
少しずつ進行するので、自分では、その深刻さに気付かないこともあります。
歯ぐきが下がって根元虫歯 (根面う蝕)
若い頃はあまり気にもならなかった歯ぐきの後退。
だんだんと歯ぐきが下がって、今まで見えていなかった歯の根元のあたりが見えませんか?
根元の露出している部分は、本来は隠れていなければいけない場所です。
酸に弱く、虫歯にもなりやすい部分といえます。
歯ぐきが下がってしまう原因は歯周病と老化です。
他に歯の磨き方が原因になってしまう場合もあります。
せっかくきちんと磨いていても、その磨き方によっては歯ぐきの後退を早めてしまいます。
老化はどうにも避けようがありません。
でも磨き方は、今日からでも変えることができます。
力まかせにゴシゴシ磨いていませんか?
基本はあくまで、『力を入れずに汚れを取り除く』です。
昔とは違う、今の歯磨き事情
中高年のみなさんが子供の頃に言われて、それが普通だと思ってきたこと。
それはそれで間違いではありません。
しかしながら、時代が変わって、考え方、店頭に並ぶ商品も変わってきました。
歯磨き剤も変わりました
わりと最近まで、
「歯ブラシにとる歯磨き剤の量は少なめ」
と言われませんでしたか?
歯ブラシの先端に少しだけ。
歯磨き剤が多いと、きちんと磨けないからというのがその理由でした。
含まれている香料や清涼剤で、すっきりはします。
ですが、肝心の汚れがしっかりブラシで落とせていないのです。
今でも、それは変わりません。
とにかく(何度も言うようですが)、歯磨きの目的は汚れを落とすことです。
しかしながら。
最近は、「虫歯を防ぐ成分」も注目されているのです。
フッ素(フッ化物)が歯磨き剤にも、たくさん配合されるようになりました。
フッ素の役割は、虫歯の発生を予防することです。
- 再石灰化の促進
- 歯の強化
- 虫歯の原因菌の働きを弱める
こういった効果により、大人の虫歯も防ぐ効果が期待できます。
露出した歯の根元付近を守ってくれます。
でも実は、使った翌日にすぐ効くというものではなく、とても穏やかなのんびりした話です。
そのかわり、日々の歯磨きで効果を得ることができます。
歯磨き剤は昔よりも多めが正解
よく見ると、歯磨き剤のチューブには、使う量が書かれていなかったりします。
そもそもあまりチューブの注意書きも読みませんよね。
私もそうです。
メーカーさんやブランドにもよりますが、現在は歯ブラシの3分の2くらいが推奨されています。
具体的には重さで1グラム、長さでは1〜2センチです。
これは昔に比べると、ちょっと多めです。
小さめの歯ブラシだと端から端まで、歯磨き剤でどっしりです。
え? 昔からたっぷり使ってきた?
そういう方はそのままで大丈夫です。
ただ、くれぐれも磨き残しには気をつけてくださいね。
使用量が多いのは、配合されているフッ素(フッ化物)を口内に行き渡らせるためです。
じゅうぶんな量を使うことで、口をすすいだ後、唾液や口腔内に残った成分が、少しずつ溶け出して作用します。
決して、早くチューブを終わらせて、たくさん売ろうとしているのではありません。
ですので、最後に口をゆすぐ回数も、1回でいいことになっています。
口の中にフッ素を残すためです。
でもやっぱり、歯磨き剤が多いとちゃんと磨けない。
そういう方は、少量つけて一度磨いてから、もう一度、歯磨き剤を塗って口をゆすぐという方法もあります。
このあとご紹介する、補助的なグッズを使う場合も同様です。
フッ素配合の歯磨き剤を使ったら、すすぐ回数をできるだけ減らせるように、順番を組み立てましょう。
歯磨き剤に配合するフッ素の量は今の方が多くなっています。
ですので、6歳未満の小さなお子さんは使えないものもあります。
注意してください。
ゴシゴシ歯磨きは意外と磨けていない
歯ぐきの後退を防ぐ意味でも、力を入れてやみくもにゴシゴシするのはやめてみましょう。
大人になってから、それまでのやり方を変えるのは、簡単なことではありません。
ですが、チャレンジはいつでもできます。
とりあえずやってみましょう。
ゴシゴシしない方がいい理由が、ちゃんとあります。
実は、力を入れて磨いても、歯ブラシの毛先が逃げてしまって、思っているよりもしっかり汚れは落とせていないのです。
とくに最近の歯ブラシは、毛や歯ブラシじたいの構造に弾力性を持たせてあり、必要以上の力を加えると逆に効率が悪くなります。
さらに、勢い余って口の中に歯ブラシが当たると、傷ついて口内炎になることもあります。
今の歯ブラシの性能を信用して、優しく丁寧に磨いてみましょう。
■ 基本の磨き方 ■
- 歯ブラシを持つ時は親指・人差し指、中指の3本くらいで
- 歯は1〜2本ずつ磨く
- 力は入れず優しく小刻みに動かす
- 根元に対しては45度の角度、無理に押し付けたりしない
歯磨きは時間ではありません
歯磨きは何分、と時間で言われることもありますが、あくまでも目安です。
目的は汚れを取り除くことです。
ただ漠然と2分、3分と、同じように歯ブラシを動かしていたら、それこそ歯と歯ぐきのためには、逆効果になりかねません。
鏡を見て確認しながら、少しずつ磨くのが理想です。
ですが、毎回毎回ではだんだんと億劫になって、それがストレスになってしまいそうですよね。
まずは、すべての歯に歯ブラシが当たるように。
そこから気をつけるようにしてみましょう。
歯磨きは寝る前に頑張る
ただ、1日1回、できれば就寝前の歯磨きは時間をかけて、きっちり汚れ落としすることをオススメします。
理由は、寝ている間が一番、虫歯や歯周病が進行する可能性が高いからです。
寝ている間は唾液の量が減ります。
唾液はとても優秀で、
- 食べ物の消化を助ける
- 食べかすを浄化
- 口の中を中性に保つ
- 殺菌
- 歯の再石灰化
主な作用でも、これだけの働きがあります。
これが減ってしまうのですから、ばい菌としては嬉しい環境になります。
そこで、唾液が減ることによるダメージを防ぐためにも、しっかりと磨こうということなのです。
言い換えると、寝る前が一番肝心です。
翌朝の爽やかさが違います。
ぜひ、試してみてください。
歯ブラシ以外も使ってみよう
最後の項目になりました。
歯ブラシ以外の、口腔ケアお助けグッズを紹介いたします。
デンタルリンス・マウスウォッシュ
売り場でも一緒に並んでいることが多いようですが、
- デンタルリンスは『液体ハミガキ』
- マウスウォッシュは『洗口液』
です。
日本語で書いた方がわかりやすいですよね。
同じようなボトルですが、必ず『液体ハミガキ(液体歯磨)』か『洗口液』、どちらかの表記があります。
液体ハミガキは書いて字のごとく、液体の歯磨き剤です。
クチュクチュして口内に行き渡らせた後、吐き出し、それからブラッシングが必要です。
液体歯磨きには研磨剤が入っていません。そして泡立つこともないので、しっかりブラッシングしたい人に向いています。
洗口液、いわゆるマウスウォッシュは、口の中を爽快にするのが主な役割です。
日常的に歯磨きの代わりにはなりません。
しかし、外出先などで歯磨きできない時、あるいは口の中が気になった時に気軽に使うことができます。
歯磨き後の仕上げすすぎでの利用を推奨しているメーカーもあります。
朝一番、まずマウスウォッシュで口の中をスッキリさせるという方法もありますね。
用途がまったく違うわりに、姿形が似ていて、一緒に並んでいることが多い2品。
あのリステリンにも、洗口液と液体歯磨きの2種類があります。
選ぶ時には気をつけましょう。
デンタルフロス・歯間ブラシ
今や、いろんな形のデンタルフロスや歯間ブラシが発売されています。
フロスは歯と歯の間を掃除する糸のことで、使うとより完璧な口腔ケアができます。
ですが、慣れないと使い方がむずかしいため、当初はあまり普及しませんでした。
『糸ようじ』など、持ち手のついたものが発売されて、やっと一般的になりました。
今は奥歯の奥にも届きやすい、Y字型のものも出ています。
歯間ブラシは歯と歯の間が広い人や、根元部分の掃除に向いています。
とても小さなブラシで、材質やサイズが色々あります。
最初は小さめから始めましょう。
無理に大きなサイズを使うと、かえって歯の根元を傷つけてしまうことがあります。
2品とも歯垢が溜まりやすく、虫歯になりやすい歯と歯の間を効率的に掃除できます。
ぜひ、使ってみてください。
タフトブラシ
聞き慣れない言葉かもしれませんが、とても便利なブラシです。
部分磨き用ブラシとも言われます。
オススメしたいのは、歯列矯正している人、歯並びが悪い人、前歯の裏側がよく磨けない人、親知らずがある人、奥歯の奥をもっとちゃんと磨きたい人など。
タフトブラシは小さいので、小回りがきいて磨きやすくなっています。
ですが、ブラシ部分は普通の歯ブラシと同じくらいの硬さがありますので、やはり力を入れずに、ソフトに磨きましょう。
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今は、虫歯になっても、なるべく歯を残す方向で治療するようになりました。
そして何より、歯の健康を保つ『予防歯科』を積極的にすすめています。
虫歯でなくても、どこも悪くなさそうでも、年に2回の歯医者さんでのチェックも推奨されています。
40代以降、ますます歯の大切さが身にしみてきます。
歯周病と、歯ぐきの後退による歯の根元の虫歯(根面う蝕)、あきらめずにケアして自分の歯を守りましょう。
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▼ 参考にさせていただいたサイト ▼
詳しくは下記リンクからご覧ください。
ライオン株式会社 [製品情報→カテゴリーから探す]歯とお口のケア
小林製薬株式会社 [製品情報→製品検索→カテゴリー・悩みから探す]お口の悩み・ケア